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満面の笑み

「はぁー…」

「なんかあったの、潤先生?」

「あ、森山か…」

放課後の理科準備室。一日中、男子生徒のあの言葉が頭を巡っていて。
今まで意識してなかったけど、妃那はいつも男子生徒に囲まれている。

「なぁ、森山…」

「なに?」

「妃那って、人気あんの?」

「え、今さら知ったわけ?」

同僚である森山は、驚いた顔で俺を見る。
やっぱりそうなんだ…。だめだ、へこむ。

「でもさ、二人、付き合ってるんだろ?」

「…付き合ってない」

「え、嘘だ!あんな学校でもラブラブしてるくせに!?」

「はっ?ラブラブなんかしてないし!」

「いやいやいや…」

苦笑いを浮かべる森山を睨みつけると、呆れたようにため息を吐いた。

「誰が見てもラブラブだって」

「だから違う…」

「じゅんー、準備できてる?」

反論しようとした時、準備室の扉が開き妃那が顔を覗かせる。

「あ、ごめん、待って」

机から顔を上げて、鞄に必要なものを入れていく。

「潤先生とどっか行くんですか?」

「ん?帰りがてら買い物するんだ」

「そうなんですか」

森山と話す妃那は笑顔で、それに少し苛つく。心狭いな、俺。
乱暴に私物を鞄に入れていると、森山が隣に立つ。

「…なに、」

「もう恋人通り越して、夫婦ですね」

「…あほか」

小声で耳打ちしてきた森山の頭を軽く叩いて、鞄を持つ。

「妃那、帰ろ」

「うん!森山先生お疲れ様でした~」

「お疲れ様ですー」

準備室を出て、廊下を歩く。

「何買おうかなぁ…」

「なぁ、妃那」

「んー?」

「俺、ハンバーグが食べたい」

「潤がリクエストするの、久しぶりだね!よし、ハンバーグ作ったげる!」

満面の笑みを浮かべた妃那は、俺の腕に自分のを絡めた。

ハンバーグの材料を買って、マンションに帰る。
妃那を先に降ろして、駐車場に車を停めてから部屋に向かう。